触手のように人体を包み込むように変形する「スペーシャル・フラックス」を無重力で実験

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 構造学的に言うと、無重力とは建築最大の敵である重力がない状態ということだ。つまり、重力に耐える必要がない構造物という新しい可能性が開けるということでもある。

 これから探求するのは、素早く膨張する新しい形態である。それがスペーシャル・フラックス(Spatial Flux)である。

 このプロトタイプ開発においては、地上では役に立たないが、無重力下なら大いに利便性を提供してくれる素材を追求している。


Flux Prototype

 MITメディアラボの都市科学(City Science)は、地上の外で人体サイズの構造を考察するという機会に恵まれた。動画で紹介されているのは、そのための実験の様子だ。


SpatialFlux: Soft Robotic surface in zero-g

スペーシャル・フラックス(Spatial Flux)
無重力下で人体を包み込むよう変形する空気式素材

 狭い区画では空間が貴重だ――それは外宇宙でも密集した都市部でも同様だ。

 人体の身近にあり、それでいて必要のないときはすぐに片付けられるような一時的構造は、未来の都市の設計に不可欠な要素である。

 無重力は、そうした設計を行う上で最初の礎石となるかもしれない。例えば、無重力空間において床というものはない。

 これまで一般に床材として使われていた素材は曖昧になる。かつて床の表面や天井の下面として使われていた素材には、もはや裏表がなくなる。表面は流動的で、表と裏の中間の存在になる。人と表面の関係性を縛り付けていた重力がないなら、それを見直すいい機会である。
 
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image credit:Carson Smuts

 都市科学グループは、私たちが生活する場に存在する空間的勾配を取り入れるためのアレンジの多様性を追求している。

 そこではフルスケールの多様式運動空間を開発している。机に座る、ソファでくつろぐ、うたた寝する……このように人体を空間に委ねた瞬間にインスピレーションが訪れる。

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 現在の語彙は重力に基づいたものだ。では無重力空間において、表面を建築学的に定義するにはどうすればいいだろうか?

 この流動的な状態は人体向けの構造物を設計するにあたって、どのような機会をもたらすのだろうか?

 建築家はXとY(北/南)にZ(重力)を加えたデカルト格子を信奉しており、これを用いて建築の諸要素を語る。だが、ここではXYZを用いることなく、諸要素を記述する方法を考案してみよう。


Flux Body Pour

フライトでデータ収集

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image credit:Steve Boxall

 データは1時間強のフライトで「TerMITes(Ter-MIT環境センサー)」を用いて収集された。加速データの実験は楽しく、またさまざまな放物線を体験することもできた。収集されたデータは、温度、圧力、湿度、XYZ加速(Z値は描く飛行中の各放物線を表す)、光だ。

References:mallcong / media.mit/ translated by hiroching / edited by parumo
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