4次元空間で起きる物理現象が2つの実験により観察される(国際研究)

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 「次元」は、空間の広がりをあらわす一つの指標であり、我々は3次元と空間を生きている。空間が縦・横・高さの3つ座標で表せるのは、この世界が3次元であるからだ。

 2次元というと平面的な彼氏や彼女を連想してしまいがちで、4次元というとドラえもんのポケットくらいしか思いつかないが、3次元空間にさらに1つの座標軸が加わったのが4次元だ。

 最新の研究によると、2つの物理学者チームが、別々に行った実験で第4の空間次元の存在を見出したそうだ。
 

2つの実験で4次元に量子ホール効果が起きていることを確認

 この4次元は、そこに迷い込んで行方不明者が出るような類のものではないし、便利な道具がでてくるわけでもない。

 今回この実験を行ったのは、アメリカ・ペンシルベニア州立大学のマイケル・レヒツマン教授の研究チームと、ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学、マイケル・ローゼ教授率いるヨーロッパの研究チームだ。

 2つの研究チームが行ったのは、超冷却原子を使った実験と光粒子を使った実験だ。それらの結果は異なるものであるが、補完的であり、4次元において「量子ホール効果」と呼ばれる現象が起きていることを確認できる。
 
 物理的には我々は4次元空間系を持てないが、高次元系が構造の複雑性の中にコード化されているために、低次元系を用いて4次元量子ホール効果を得られるという。

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image credit: レヒツマン研究所 Rechtsman laboratory, Penn State University

4次元空間を物理的に現実化できるのか?

 3次元空間は、すなわち人がその他すべてのことを一定に保ちながら移動できる方向である。直線に沿って前後に移動すれば、それが1つ目の次元。その線から直角に動けば、それが2つ目の次元で、平面が出来上がる。さらに上下に動けば立方体が出現する。

 4つ目の次元が存在するとすれば、ここにさらに別の直角を加えて、一種の超立方体を作ることができる。第4の空間次元は数学的に記述可能だが、物理的に現実化することはない。

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回転する四次元立方体(正八胞体)を三次元に投射したアニメーション image:wikipedia

 だが、3次元の人物は2次元の影を残すと考えてみよう。この影を観察すれば、3次元の物体について何らかの情報を得ることができる。

 ひょっとしたら、現実世界の物理系を観察することで、低次元に残された影から4次元の性質を垣間見ることができるかもしれない。

2つの研究チームが特殊な方法を用いて量子ホール効果を確認

 両実験の核となっているのは量子ホール効果だ。電子がまるで紙の表面(グラフェンや半導体の特定の層など)にくっ付いてしまったかのように2次元に閉じ込められた時、磁場がそこを垂直に通過すると、系の電気特性の一部がある数値の倍数に制限されるようになる。

 数学的には、この量子ホール効果のその他の結果は4空間次元系で計測可能であるはずだ。だが、繰り返すが、我々はこの物理を確かめる4空間次元を持たない。

 両チームは、この難関を特別に編み出した手法でそれを克服した。

 ヨーロッパのチームは、ルビジウムの原子を2次元のレーザーで捕獲した。境界をレーザーで仕切られた格子の中に原子が入っているような場面を想像して欲しい。

 これによって2次元量子の電荷ポンプを作り、電荷の輸送(原子は電荷を帯びない)をシミュレートできる。これらの原子の内部挙動に基づく追加パラメーターを各次元に沿ってコード化し、残り2空間次元を表現する。この系を用いることで、4次元における効果の存在を示す第2チャーン数(second Chern number)が測定された。

 一方、レヒツマン教授のチームは、一連の導波(光波の形状を制御可能な特別製のガラス)を通過する光を用いた。

 こちらは、スパゲッティの箱に収められた光ファイバーケーブルの束のようなものだ。ケーブルは連結されており、光は先端の間を移動できる。

 このスパゲッティをくねくね動かすことで電荷粒子の電場の効果(光子で表される)をシミュレートし、その影響を電光掲示板のような感じで観察できる。

 研究チームは、光が装置の逆側の端と隅に飛んだことを確認。これも4次元の量子ホール効果に関連すると考えられる。

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image credit:Zilberberg Group / ETH Zurich

4つ目の次元が存在したとすれば生じるであろう効果を実証

 両実験の結果は互いに補完し合っている。ごく簡単に言うと、前者の実験は物理系の大部分における4次元効果を観察し、後者の実験は同じ系の縁におけるそれを観察するものだ。

 無論、実際の4次元系で観察したわけでないことは大きな限界であるが、どちらも精巧に作成された系であり、4つ目の次元が存在したとすれば生じるであろう効果を実証している。

 だが研究された系において原子と光子は相互作用しない。それらが作用する系における効果も今後調査したいところだろう。

 この系は、さらに突飛な量子重力やワイル半金属の研究をも後押しするかもしれない。また高次元系を活かした光子機器の開発も期待される。

References:nature / nature / engineering / ethz / translated by hiroching / edited by parumo
 ドラえもんの四次元ポケットの中の構造がなんとなくイメージできるようになったのかもしれないし、そうでもないのかもしれない。というか、4次元に3次元の手を突っ込んだ瞬間、あのまん丸の白い手にどのような変化が起きるのだろうか?

 「な〜んだそんなことか」、パッパカパッパ、パッパカパッパ、パッパカパッラッパ〜「四次元体感ライト〜!」とかドラえもんが出してくれると良いのだが。
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人間の脳は4次元を見ることができるのだろうか?

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