自らの体を実験台に遺伝子編集を行う元NASAの生化学者。腕の筋肉の質量を変化させる注射を打つ

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 元NASAの生化学者、ジョサイア・ゼイナー(36歳)氏は、自分の遺伝子を変化させるために遺伝子編集ツール「CRISPR」を使用した最初の生体人間となった。

 彼はDNAなどを含んでいるという注射器を自らに注射した。それは筋肉の質量を劇的に増加させる細胞の遺伝子を変化させるのだという。そして自らの左腕にDIY遺伝子治療を注射する様子をネット上で生配信した。


How to Genetically Engineer a Human in Your Garage

バイオテクノロジーの立役者として活動するゼイナー氏

 ゼイナー氏は元NASAの生化学者で、オーディン遺伝子工学会社の創設者兼最高経営責任者(CEO)である。また、”バイオハッカー運動”の中心人物でもある。これは科学者、エンジニア、芸術家、デザイナー、活動家などが連帯して、ありきたりな状況や実験室ではないところでバイオテクノロジーの実験を行おうという運動だ。

 アメリカでは無許可で遺伝子治療製品を販売することは違法である。米食品医薬品局(FDA)の警告にも関わらず、ゼイナー氏は誰でも基本的な遺伝子エンジニアリング技術を利用できるようになるキットを販売し、さらに自分で実験を続けたい者のために無料のガイドを出版した。

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自らの体を実験台に筋肉の質量を変化させる遺伝子を編集

 これまで遺伝子編集実験は動物を使って何度も行われている。だが人体での実験には至らなかった。倫理的な問題もあるし、何かが起きてからでは遅いからだ。

 ゼイナー氏は自らの体を使って突破口を切り開こうとしている。遺伝子編集ツールは安価で入手可能であり、知識さえあれば誰でも実験ができるということを証明したいのだという。

 彼は手始めに、ミオスタチン(筋肉の成長を制御するタンパク質)を使用した。これまでの豊富な研究結果があるからだ。

 腕の細胞のDNAは変化はじめているというが、それを検査する試験を開発している最中だという。だが、筋肉の実際のサイズが変化するかどうかについては、幾分懐疑的だそうだ。

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image credit:youtube

遺伝子をいじることのリスク

 1つの遺伝子の振る舞いを変化させれば、他の遺伝子の制御や発現に対して大きな連鎖的効果が生じる可能性がある。そんなリスクを負ってまでやることなのか?

 ゼイナー氏もそのリスクは理解しているという。もし全身のミオスタチンを阻害するようなことをすれば、心臓の筋肉までめちゃくちゃになってしまう。だが、彼がこれまで集めたデータによれば、腕への局所的な注射で生じるリスクはないのだという。

遺伝子治療や実験を自分で試したい人々を支援する理由

 通常は、専門家が治療法を徹底的に試験した上で使用許可が下りる。だが許可が下りるのには時間がかかる。

 ゼイナー氏は製品の試験をしない、あるいは準備もなく利用可能にすることで生じる死者の数と、それを使用できないことで死んでしまう遺伝病患者の数のバランスが大事だと考えている。

 今はとてもアンバランスな状態にあり、人々を過剰に守ろうとするあまり、死にかけている無数の人々のチャンスを奪っているという。

 また、人間には自由と平等の権利がある。彼は、自分の遺伝子を自分でコントロールできることこそ、平等の権利と考えているようだ。

 ただしそれは好き勝手にしていいというわけではなく、きちんと勉強し、科学的データを徹底的に集め、検証する必要があるという。

遺伝子編集で自分の体を自分で改造できる時代へ

 90年代以降、人間は遺伝子治療で遺伝的に改変されてきた。だがそうなったのはごく一部の人であり医療目的で行われたものだ。ゼイナー氏はみんなが自分自身の遺伝子を改変する手助けをしたいという。

 もしDIY遺伝子工学が一般的なものになったら、『ブレードランナー』のような世界が訪れるだろうという。ラボに行くと、人々がDNAを選んで、筋肉を増やしたり、髪や目の色を変える、そんな世界になるだろうと。

 DNAは種を定義する。それを改変することでヒトがほとんど新しい種に変わってしまう、あるいはそんな未来も訪れるんじゃないかとゼイナー氏は思っている。

人が人の遺伝子を改変することに対する人々の反応

 かつて、トマトの熟れ具合を変化させるためにDNAが改変され始めた時、一般には強い懸念が広まった。人が生物を改変することについて抵抗を持つ人は少なくないだろう。ましてや人が人の遺伝子を改変するとなると大きな反発が出ると予想される。

 だがゼイナー氏はそれに関して楽天的な見方をしている。

 これまで、遺伝子改変は専門家の手によって行われてきた。何をどういじっているのか?こちら側で制御することもできない。だから人は反対する。

 すべての情報が常に開示されていて、誰もが自由に実験できて自己責任で使うことができるというのなら、世の中は肯定的な反応を示すだろうと彼は考えているようだ。

References:facebook / youtube / the-odin / theguardian/ translated by hiroching / edited by parumo 

 確かに遺伝子治療が進めば、これまで遺伝子系の病に苦しんできた人々は救われるだろう。だが同時に、治療以外の目的で使用すると人体改造も可能となってくるわけで、失敗したらそれこそSF映画にでてくるようなとんでもない人類が誕生してしまうのではないかという恐怖もあるけど、そう遠くない未来に、何かが起きちゃうのは避けられないのかもしれないなぁ。遺伝子編集キットとか普通に買えちゃうしなぁ。
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