はたらくクルマの代名詞、トヨタ「ハイエース」50年の歴史を振り返る

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トヨタ「ハイエース」が一部改良を実施し、新型が12月1日に販売されました。

今回の改良の主な変更点はふたつ。まずは、ディーゼルエンジンが1KD型から、「ランドクルーザー」や「ハイラックス」にも搭載される1GD型へと変更されたこと。もうひとつは、衝突回避支援パッケージ“トヨタ セーフティ センス P(Toyota Safety Sense P)”を全グレードに標準装備したことでしょう。

ハイエースは、トヨタが展開する商用バンの代表モデルですが、200系と呼ばれる現行モデルがデビューしたのは2004年のこと。ボクシーなエクステリアは今もなお魅力的で、古さを感じることはありません。とはいえ、エンジニアの方いわく、バージョンアップこそ行えど、容易にモデルチェンジしないというのも、実はハイエースの開発では外せないテーマなのだとか。

このように、一般的な車種とは異なる基準も盛り込まれるハイエース。最新モデルと合わせ、そのヒストリーや活躍ぶりについてご紹介したいと思います。

■実は世界150カ国で販売されているハイエース

仕事で使われる方や、はたらくクルマのマニアでなくても、ハイエースをご存知の人は多いはず。私たちにとって身近な商用車であるハイエースですが、ワンボックスボディを採用した初代モデルのバン仕様が登場したのは、1967年10月のこと。つまり、2017年は誕生50周年の節目に当たります。

10系と呼ばれる初代モデルは、国産初のキャブオーバーバン/ワゴン/トラックとして、使い勝手の良さからヒット作となり、ロングバンや救急車仕様など、バリエーションの拡大を図りながら’77年まで製造されました。

その後、2世代目の20系へとバトンタッチしますが、同モデルは商用バンを主流としつつも、ワゴンモデルでは4速ATの設定や快適性の向上など、装備面や仕様の拡大を図りました。

そして’83年に、3世代目の50系へと進化。バンとワゴンは基本設計を同じにしながら、各々のキャラクターを重視。バンはより商用に特化した低床フロア車なども設定されました。一方、ワゴンは高級感ある内外装や装備を採用したほか、リアサスペンションにコイルスプリングを採用するなど、乗り心地の改善を図りました。

’89年にデビューした4世代目100系は、それまでのコンセプトを継承しつつも、ワゴン系モデルはより豪華さを追求。高級ワンボックスカーとして、企業などの移動車としても採用されるようになりました。今日のミニバンで一般的となった、パワースライドドアも設定されています。

そして、2004年に現行の200系が登場、改良を重ねながら今日に至ります。

今回の改良は、エンジン性能と安全性の向上が目的ですが、いずれも中身の充実ですから、歓迎される方も多いことでしょう。ちなみにディーゼルエンジン車は、新エンジンと6速シーケンシャルATの採用により、従来比1.6km/Lから1.0km/Lの燃費向上を実現しています。

また、衝突回避支援パッケージですが、ミリ波レーダーと単眼カメラを用いた高性能版のトヨタ セーフティ センス Pを採用しており、プリクラッシュブレーキのほか、レーンディパーチャーアラートやオートマチックハイビーム機能を搭載しています。プリクラッシュブレーキも、廉価なトヨタ セーフティ センス Cでは対車両のみなの対し、歩行者検知機能を備えており、より高い安全性を備えています。

ともすれば「商用モデルにこうした性能向上は必要なのか?」と思われるかもしれませんが、むしろ仕事や生活に密着したクルマだからこそ不可欠、という判断から、今回、トヨタは標準化に踏み切ったそうです。また近年では、平日は仕事で使い、休日はアウトドアやキャンプなどの趣味の足として使用するオーナーも少なくないため、歓迎する人も多いことでしょう。

…と、ユーザーの多様化や時代の要請もあり、進化を重ねるハイエースですが、私たちが普段目にしている姿は、実はほんの一面に過ぎないのです。

旅行好きの中には、東南アジアなどでハイエースを見掛けたという人も多いのでは? 実はハイエースは、これまでに世界150カ国で販売され、その累計販売台数は633万台にも達するのだとか。

トヨタ自動車 ホームページより

現行型に限っても、販売比率は日本国内が40に対し、海外は60という配分だそうです。また、商用バンとワゴン・コミューターの比率も、物流を中心に使用される国内ではバン85:ワゴン15という比率ですが、海外では旅客用に使われることが多いため、30:70と逆転するといいます。ちなみに、ハイエースの設計は日本で行っていますが、タイなど海外にも製造拠点があり、海外で販売される車両は現地生産のパーツも使用されているそうです。

トヨタ自動車 ホームページより

開発エンジニアの方の話によると、南米などの開発途上国では、ハイエースが交通インフラに欠かせない存在になっており、1年に数十万kmを走る車両も少なくないのだとか。ちなみに、乗用車をしのぐ耐久性が求められるため、各部の強度には相当の余裕を持たせてあるほか、過酷な使用状況においても、いきなり走行不能にならないよう、故障する順番まで設計時に検討しているとのこと。それでもなお、海外では開発者の想像を越える状況で使用されることもあり、例えば南米では、35人が乗って走っているのを目撃したほか、ミニバンの数倍以上の使用頻度を想定して設計したスライドドアが壊れる、なんてことも…。ちなみに、ドアなど実用性や安全性に関わる部分には、こうしたデータをしっかりフィードバック。そのタフネスぶりに磨きを掛けています。

また、部品調達が困難な途上国では、廃車されたハイエースのパーツを利用し、修理されるケースも少なくないとのこと。そのためバージョンアップを行いながらも、安易な設計変更などは行わず、修理に対応できるようにしているそうです。日本とは使い方こそ異なりますが、彼の地においても、ハイエースは人々の生活に欠かせない存在なのです。

さて、新しいハイエースには、今回の商品改良に合わせ、内外装をダークカラーで統一した特別仕様車「スーパーGL“ダークプライム”」(310万8240円)と、レジャーユースを想定した50周年コンプリートカー「リラクベース」(333万8280円)も設定されました。

さらに、50周年を記念し、歴代のハイエースやそのカタログなどを紹介する特別展示を、東京のメガウェブ(12月3日まで)と、愛知のトヨタ博物館(12月5日から12月14日まで)で開催。日本のはたらくクルマの代表であるハイエースの、凛々しくもたくましい姿とその歴史をチェックしてみてはいかがでしょう。

(文/村田尚之 写真/村田尚之、トヨタ自動車)

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