労災を認めない会社とどう戦う? 現役産業医が語る「ブラック企業」との戦い方<産業医に聞け!>

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 こんにちは、これまで1万人と面談した産業医の武神健之です。

 前回に引き続き今回も読者の方からいただいた相談にお答えさせていただきます。実際にお会いして面談しているわけではございませんし、教えていただいている以上の内容や、相談者の企業文化を知っていることもないので、あくまで参考までにしていただけますと幸いです。

Q.労災を認めてくれない会社をどうすればいいですか

相談者:Bさん(トラック運転手・27歳・男性)

「トラックの運転手をしています。先月、荷物の運搬作業中にケガをしたのですが、本部は『家でケガしたことにしておいて。医者の領収書をもってきてくれたら払うから。』と作業中のケガを労災として認めてくれません。話をしようとしても一方的にまくしたてられ、何もできません。どうすればいいのでしょうか」

会社が労災を嫌う3つの理由

産業医の処方箋

 いつもお仕事お疲れ様です。

 Bさんは、過重労働(長時間労働)が最近ニュースにも取り上げられる業種の方ですね。ケガの程度がわかりませんが、事故などの入院や休職を要するほどの大きなケガではないという前提でお答えさせてください。

 しかし、まずその前にこういった場合、会社側がどのように考えているものなのか、説明させていただきます。何か問題を解決するときは相手を知ることが、自分が望む解決方法に近づくのが鉄則です。
 
 そもそもなぜ会社が労災を嫌うのでしょうか。多くの場合、会社は労災を好きではありませんが、その理由は主に3つあります。

1.世間体が良くない

 1つめの理由はもちろん、会社の誰にとっても、社員がケガしたことが嬉しいわけはないからです。もちろん、世間体も良くないですしね。

2.煩雑な事務的手続きが発生する

 2つめの理由は、労災に伴う手続きという業務が発生するからです。人事や総務の担当者は、あなたの医療費の費用手続き(療養補償給付)のほかに、場合によってはさまざまな手続き(休業補償、障害補償、遺族補償、葬祭料、傷病補償年金及び介護補償など)をしなくてはなりません。

 事務手続き担当者がケガした本人と近い関係の方だと、あの人のためにと“情”が入る恐れがあるため、担当者の感じるストレスも少ないですが、現場と本部が離れている職場だとそのような“情”は期待できません。場合によっては「不注意で(ケガして)仕事増やした」と、怪我した本人が小言や文句を言われてしまうくらいです。

 これは特に会社の本部と各従業員の物理的距離が遠い本部と各支店のような構造の会社や、本部裏方と現場の距離が遠い業種(運送業、宅配業等)によく見られると感じます。得てして現場の長である支店長も、本部への立場もあり現場の社員の味方をし続けてくれるとは限らないのです。

3.労基チェックがある

 そして、3つめの理由は、これが一番大切なのですが、度重なる労災申請は、労働基準監督署担当官の視察を呼びかねないからです。

 労働基準監督署の担当者が視察に訪れれば、今回の労災に関することだけではなく、色々と調べられることになります。長時間労働の実態、サービス残業、健康診断やストレスチェック制度の実施具合など、叩いてもホコリの出ない会社は珍しいのではないでしょうか。

 たとえ視察にこなかったとしても、担当者の記憶に会社が残ることにメリットはなく、リスクや不安が募るばかりですね。

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