8月のバルセロナテロの犯行リーダーはスペイン諜報機関の内部通報者だった

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多くの犠牲者を出したバルセロナのテロ。photo by Amadalvarez via wikimedia commons(CC BY-SA 4.0)

 8月17日にバルセロナとカンブリルスで起きた連続テロ事件で、犯行グループ12人の内8人が死亡し、4人が拘束された。この4人の容疑者のひとりが、導師アルデルバキ・エス・サティが犯行のリーダーだったことを証言した。また、犯行日の前日にカンブリルスから90km南下したアルカナルで爆発事件があったが、そこで爆弾を製造してバルセロナのサグラダファミリアなどを爆破させる計画であったことも供述した。

 導師のサティはこの爆発で死亡したひとりと断定されたが、11月16日付でスペイン電子紙『OKDIARIO』は<サティがスペインの諜報機関である国家情報センター(CNI)の内部通報者であった>ことを明らかにした。

 その後も、同紙はそれに関係した記事を提供している。また、他紙もそれに追随するような形でこれに関係した情報を提供し始めた。

 一方、CNI当局はその間沈黙を守っていたが、ついに11月18日、CNIはサティが内部通報者であったことを認める声明を発表したのである。(参照:「OKDIARIO」)

 即ち、サティはスペイン諜報機関にスペインに在住しているムスリムの動きなどの情報を提供すると同時に、彼自身は若者をテロリストとして育てていたのである。

 CNIが、サティが内部通報者であったということを公にすることを決めたのには、アルカナルでの爆破事件とバルセロナとカンブリスのテロ事件との関連性をフェルナンド・アンドゥレウ判事の指揮の元に検察は内輪で調査を進めていたという背景があった。この調査でCNIは、サティがCNIの内部通報者であったということが発覚するのを恐れたのである。

 当初、サンス・ロルダン中将が長官を務めるCNIは、検察にサティが内部通報者であったということを内密にしてもらうように要請したという。しかし、フェルナンド・アンドゥレウ判事と検察はそれを拒否した。そこで、仕方なくCNIはこの事実を公にすることを決めたのであった。(参照:「OKDIARIO」)

3年近くスペイン諜報機関から報酬を貰う一方でテロリストを養成

 ではCNIとサティがどのような経緯で繋がりを持つようになったのか、その過程を以下に要約しよう。

2002年:ある対テロ取り締まり作戦で国家警察はそのグループにいたサティを一時拘束し、その後釈放。
2005年:国家警察と治安警察はチャカル作戦を実施。それはバルセロナに在住するアルカエダに関係したグループの動きを調査するためで、彼らの携帯電話を盗聴。その中にサティもいたが、彼の携帯番号が間違って警察の方で記録されていたため、彼の動きは追跡できず。2010年まで警察では彼の行方は不明となっていた。
2010年:サティは121キロの大麻をスペインに持ち込んだとして逮捕される。2011年に懲役4年の判決で、バレンシア州カステリョン市の刑務所に収監される。
2014年:CNIが収監されているサティと接触。CNIはテロリズムやジハードに接触のある人物を内部通報者として常に抱えている。サティがその対象になった。しかし、サティは4年間の刑務所生活で、マドリードで2014年に起きた電車連続爆破テロの犯行者の一人ラシッド・アグリフと親しくなり、タクフィール過激主義者の影響を受けていた。それはCNIでは知るよしもなかった。
2015年:刑期を終わると彼の出身国であるモロッコに送還されることになっていた。しかし、社会秩序や市民の安全に脅威にならないと判断されて、スペインでの長期永住が許可された。この恩恵の背後にはCNIが影響していた。
2016年:ベルギーのビルボールド市に1月から3月まで滞在。その間、導師として働きたいという情報を入手した当地の警察はカタルーニャ自治州警察に彼の前科を尋ねた。自治州警察は国家警察や治安警察と異なり、彼のそれまでの前科についての記録は生憎もっていなかった。何故、自治警察にそれを尋ねたのかという疑問には当地の担当警察が自治警察と接触があったからだとしている。国家警察も治安警察もカタルーニャの自治州警察とは殆ど情報の共有は存在していない。

 その後、サティはカタルーニャに戻り、リポイル市でイスラムの導師として活動するのである。スペインのイスラム教では導師が不足しており、事前に導師の素性を調査せずに採用するというのが現状だという。

 結局、今年8月16日の爆破事件で死亡するまで、サティはCNIから報酬を貰い、その一方で若者がテロ活動を実行するために彼らを洗脳していたのである。

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