アメリカで「寿司を素手で握るか否か」の論争が勃発! 日米の衛生観念が対立する

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手袋をはめて寿司を握るニューヨークの寿司職人の手元

「医療服のままでの出退勤」が常態化するアメリカの衛生観念を紹介した前回だが、今回は海外と日本の衛生観念の違いから生じる問題について綴ってみようと思う。

 日本は、自他ともに認める世界有数の「超きれい好き国家」だ。

 日本衛生材料工業連合会によると、昨年度の家庭用・医療用・産業用を合わせたマスク生産数量(国内生産・輸入数量)は、49憶枚超。1度の青信号に3,000人が横断する渋谷の交差点にすら、空き缶1つ落ちていない。ドラッグストアの商品棚には「除菌」、「抗菌」、「殺菌」という言葉が並び、公衆トイレに入ればボタン1つで洗浄から乾燥までしてくれる。

 そんな日本人の衛生観念は、外国人にとって時に異様に映ることもある。

 サッカーの国際試合後に、日本人サポーターが片付けをしている姿が現地メディアに取り上げられると、世界は「負け試合の後に掃除ができるメンタルの強さはどこからくるのか」と不思議がり、小学生が自分の教室を掃除する姿には、「清掃要員の雇用を奪っている」「児童労働だ」という声すら上がる。

 前出の「マスク」に至っては、海外のスリ集団の間で「白マスク姿=日本人」という認識がもたれているため、“素直で金持ちの日本人がする自己紹介アイテム”として彼らの目印になっているほどだ。

 こうした公衆衛生に対して高い意識が保たれている国だからこそ育まれた代表的な食べものがある。「寿司」だ。

 素手で握った生魚を客に提供するには、それ相当の衛生的環境が求められるが、日本の寿司職人は、徹底した人材教育と衛生管理によって、見事にその伝統と環境を守り抜いてきた。今や日本の寿司は、生ものを口にする文化がなかった国でも食されるほどポピュラーな食べ物として知られるようになり、日本を代表する文化の1つとしても、その地位を不動のものとしている。

 しかしニューヨークでは、そんな世界に愛されてやまない日本の寿司が、数年前からある論争に巻き込まれている。その論争とは、「寿司を素手で握るのは、衛生的か否か」というもの。病院や旅館などで集団食中毒が頻発していた当時の日本でも、海の向こうで勃発したこの日本の食文化論争は、一時逆輸入される形で話題になった。

 事の発端は、ニューヨーク市の衛生局による、ある取り決めだった。当局が、市内のレストランにおける衛生基準の1つとして「調理時にゴム、またはプラスチック製の使い捨て手袋の着用」を義務付けるようになったのだが、この“調理”に、本来素手で扱われるはずの寿司も該当するとされたことで、現地の寿司職人らも、この手袋の着用を余儀なくされたのだ。

 一部の寿司店はこの基準に反発し、署名運動にまで発展したのだが、最終的に、当局の改善命令に従わなかったとして、現地の人気寿司店が廃業に追い込まれる事態になったのである。

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